弁護士コラム

初体験

弁護士 土居 聡

ヨガのイラスト

1 待合室には、約15名の女性がいました。その中で、男1人・・・初体験の前からすごく緊張。

指示されて教室へ。教室内の温度は38~39度、湿度は60~65%。何もしないのに汗が噴き出ていました。緊張が高まる中、隣に座った女性の方が話しかけてきてくれました。

女性:
「彼女に連れられてくる男性は見たことがありますけど、1人で来られた方は初めて見ました。」

そう、私は、ホットヨガの体験をするために、とあるスタジオに来たのでした。

2 女性の言葉でさらに緊張が高まり、トイレに行きたくなったところで、先生が登場されました。先生の声でヨガのスタートです。さすがに、「トイレに行きたいです。」とは言えませんでした。

先生の声で生徒が一斉にポーズを取り始めます。どうしていいかよくわからず、オロオロしていましたが、取り敢えず、先生や隣の女性を参考にして、それらしきポーズを取ってみました。

思ったことは・・・みんな体が柔らかすぎです。

1人でダルマのようにフラフラしながら、何となく同じポーズを取ってみますが、体が硬すぎて困ったことに・・・最初の難関は、女の子座りしたまま、背中をマットにつけるポーズ。みんなが、マットにぴったりと背中と太ももの内側をつけている中、体が硬すぎて、1人だけ背中も太ももの内側も浮いていました。女の子座りしたままなので、太ももはパンパンに張っています。「早く!早く!」と心のなかで叫びつつ、そのままの姿勢で約5分。

先生:
「ゆっくり呼吸して、背中がピンと張っていることに意識を向けて~。」
心の声:
「いやいや、足が浮いてる上に、背中は反り過ぎていて、呼吸ができません。背中の痛みで意識を集中させるどころか、意識を失いそうです。先生、もうダメです・・・。」

周りがゆっくり呼吸する中、1人だけ、浅く・早い呼吸を繰り返す。周りから見れば、酸素を求める金魚のようにパクパクしていたことでしょう。全身がしびれて感覚がなくなっていました。先生の「ゆっくり起き上がって~。」という言葉にどれだけ感動したことか。

ゆっくりと、でも着実に人間の限界を超えるポーズを指示する先生。「すみません、教室を間違えました。」との言葉が頭の中をぐるぐると回っていました。それでも、自分なりに必死に食らいついてポーズを取っていきました。

次の瞬間・・・耳を疑いました。

先生:
「足のおや指とそれ以外の指を手で分けて動かす~。」

ハッとしました。周りを確認・・・誰も靴下を履いていません。先生がすかさず、「君は、まず靴下を脱ぐところから~。」

3 始まって10分ほどで、すでにジャージは汗を吸ってかなりの重量になっていました。時折、先生がポーズを正にきてくれました。かなりブサイクなポーズばかりだったのでしょう、先生の表情は緩みっぱなしでした。

先生は、とても優しくて、「○○の姿勢が辛い人は、△△にしていいよ~。」とのお言葉。でも・・・「先生、△△のポーズも辛いんです。」

先生:
「お腹に力入れて~。」
心の声:
「先生、お腹がつりました。」

地上に出された魚のようにもがく男が1人だけいたとすれば、私です。周りから見れば、「なぜ1人だけ痙攣しているんだろう。」と不思議に思われたと思います。合計で3回ほど、いろいろなところがつりました。

4 あっという間に70分が経過し、終了。本来60分のコースだったのですが、できの悪い生徒が1人いたので延長してくれたのでしょうか。

終了後、着替えをして待合室へ行くと、先生が話しかけてくれました。

先生:
「どうでした?」
私:
「体が硬すぎて、思うようにポーズが取れませんでした。」
先生:
「すっごく硬かったね~。」

と即答されました。やっぱり目立っていたのでしょう。

5 こうして、初体験の70分はあっという間に終わってしまいました。

ヨガには、身体のバランスを整えるだけでなく、心のバランスを整える機能もあるそうです。確かに、先生は、ヨガの最中に瞑想にふける言葉を仰っておられました。しかし、1回目では、指示されたポーズを取ることに一生懸命で、瞑想にふけるところまでは到達できませんでした。無我の境地へ達するには、まだまだかなりの時間がかかりそうです。

悔しかったので、週に2回ほど通う決心をしました。先生の人柄に惚れたこともその決心の理由です。

こんなに汗をかいたのは初めてかもしれません。あまりに爽快すぎて、次が待ち遠しくて仕方ありません。

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